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執筆者の写真【ハウスマスター】大石 直一

日本でいちばん大切にしたい会社



【日本理化学工業株式会社】

日本理化学工業は、現在日本のチョークのシェア50%を占める筆頭メーカーです。

現会長の大山さんがまだ27歳のとき、ある一人の教師が日本理化学工業を訪ねてきました。まだ障がい者を一人も雇っていない頃のことです。

突然訪ねてきた40代くらいのその男性は、東京都立青鳥養護学校(当時)の先生でした。その頃専務だった大山会長に知的障がい者に関する知識はなく、「卒業する生徒を雇ってほしい」といった先生に、素っ気なく「責任を持てない」と断りました。しかし、その先生は諦めず、熱心に足を運ばれるのです。

迷惑そうな顔と態度で接する私に熱心に話してくれたあの先生こそが、私が歩む人生の道の扉を開けてくれました。

障害者の方々がほめられ、役立ち、必要とされる場をつくりたい。

会社は売上を上げるために、利益を上げるために存在しているのではありません。本当に人々に必要とされ、社員たちも誇りを持って働くことができる。その結果、みんなが幸福を感じることができる、そんな会社になるために存在しているのです。


【中村ブレイス株式会社】

まだ日本に義肢装具のニーズがほとんどなかった時代に、過疎が進む故郷でたった一人で創業した会社中村ブレイス。

ある日、高校二年生の女の子が訪ねてきてこう言ったそうです。「私は進路選択で東京の大学に行く予定でいます。でも大学を卒業したらどうしても中村ブレイスに就職したいのです。大学での四年間、私はどんなことを身につけ、どんな資格を身につけたらいいのでしょうか?」中村社長はこう答えました・・・


【株式会社ファンケルスマイル 】

ある年の採用で、養護学校に通う三人の生徒の中から一人だけを採用することになりました。

A子さんは軽度の障害、B子さんは中度の障害、C子さんは重度の障害。当然、父母の方も、学校の先生方も、「A子さんが採用されるに決まっている」と思っていたようです。採用する側でもそういう意見が大勢でした。すると、一人の社員がこう言ったそうです。

「私はC子さんを採りたい。なぜなら、A子さんやB子さんは、わが社が採用しなくても、きっとどこかの会社で採用してくれるはずです。しかしC子さんは、わが社が今日、ここで採用しなければ、働く機会を永遠に失ってしまうかもしれません。働く喜びと働く幸せを知らないままC子さんは息を引き取ってしまいます。そういう子のためにこそ、わが社は存在しているんじゃないですか・・・」


【杉山フルーツ】

たった五人で経営している小さな果物店。お客様にとことん美味しい果物を、という姿勢もさることながら、杉山フルーツが心を打つのはその商売に対する姿勢です。

少ない予算で「引き出物をお願いしたいのですが」と頼まれれば、店員総出でお客様が感涙に咽ぶような商品を提供するその気持ち。だから杉山フルーツには、全国各地からお客様が殺到するのです。

「あなたのお客で本当に良かった」と言われる、寂れた商店街で光り輝く家族経営の果物店。この店は経営は規模ではないことを教えてくれます。


【伊那食品工業株式会社】

現会長の塚越さんが社長になってまもない頃、工場で一人の従業員の方が怪我をされたことがあったそうです。そのとき塚越社長は会社が潰れるかもしれないほどの設備投資をして安全な装置に入れ替えました。操作ミスをし、怪我をしてしまったたった一人の従業員のために。

寒天メーカーという斜陽産業の中で、四八年間増収増益を果たし、「会社は社員の幸せのためにある」をモットーに、五十年間一度のリストラもなく、同業者とも戦わず、とことん環境に配慮した工場をつくり、百年カレンダーで遠くを見通す経営をしてきたのが伊那食品工業なのです。


【株式会社柳月】

北海道で生まれ、道内に四十店舗を展開する菓子メーカー柳月。

現在も帯広とその周辺で店舗を積極的に展開していますが、大きく成長した今もなお道内以外に店舗はありません。そこには柳月が貫いてきた創業当初からの経営理念がありました。

柳月の願いは、「心と心をつなぐこと」。地域の多くの人々が、お菓子のおいしさや気持ちのこもったサービスから幸せをもらっています。


本書の著者である坂本さんの言葉に「背中と心の経営」というものがあります。


「背中」というのは従業員とその家族に対する態度。従業員は常に背後から社長の姿を見ている。社外は騙せても、社内は騙せない。一番嫌なこと、大変なことを自分で引き受けている経営者かどうかはすぐに見透かされてしまいます。


「心」は優しさ。弱い人の立場に立ってものを考えられる優しさを持った経営者かどうか。100年に一度という厳しい時代において、リストラによってこの危機を乗り切ろうとする企業が増加する中、「社員を切るときはまず自分の腹を切る」という覚悟で社員を守る気概があるかどうか。


坂本さんは今まで約7000社の企業を訪れ、取材を行ってきましたが、上記のような心に響くような経営を行っている会社はそのうちの1割程度だったと言います。


学生たちの一番近くで働く大人である私たちが、どんな背中と心を見せていけるのか。


私たちの仕事も問われ続けています。

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