こんにちは!
事務局岡田(テル)です。
スタッフ紹介も一巡しましたので、この記事からは、それぞれのテーマで自由に更新していきます!
さて、私テルは「感想」というタイトルでしばしお送りしたいと思います。
この「感想」は、私の愛する批評家・小林秀雄氏が、度々その著作に名付けたタイトルでもあり、また氏の未完となったベルクソン論にも同様に付けられていたタイトルです。
小林秀雄は後年、未完に終わった『感想』を振り返り、こう述べています。
『失敗しました。力尽きて、やめてしまった。無学を乗りきることが出来なかったからです。』
無論、小林が「無学」であるはずがないのですが、これを彼の学問的態度の表明として受け取れば、深読みが過ぎるでしょうか。
彼の学問は常に、彼の誠に鋭敏な自意識と彼自身の感動がその端緒になっています。
自分の経験、感覚が自分自身と衝突するところに驚き、それが学問をする原動力となっていく。その仕事の先がどういうところに行き着くかなぞは、些末なことである、と。
私のような一読者は未完に終わったことを大変残念に思うまでなのだが、大事なのは、彼が『感想』という仕事を始めたとき、全体どういう感動があったのか、というところの方にあるのでしょう。
「不佞ノ仏氏ノ言ニ於ケルヤ、之ヲ好ミ、之ヲ信ジ、且ツ之ヲ楽シム、タゞニ仏氏ノ言ニシテ、之ヲ好ミ信ジ楽シムノミニアラズ、儒墨老荘諸子百家ノ言モ亦、皆之ヲ好ミ信ジ楽シム」
これは、氏が晩年になって記した『本居宣長』からの孫引きです。
「好み、信じ、楽しむ」
小林は、本居宣長に仮託して、自らの仕事について、あるいは学問について、こう述べたのです。
はて、すべての学問が感動を種として始まるのであらば、私は、その種を撒く人でありたいと思っています。
そして、できることなら、その感動を一緒に味わえればこの上ないことです。
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